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FORUM No.05(2007.1.25)

角田誠
住宅産業における3Rの取り組み

LECTURE0404

リユース・リサイクルの問題点

角田──今の話は発生を抑制するひとつの例ですが、次にリユースの話をします。リユースは同じものをもう一度同じように使っていくことです。このためには容易に取り出せることが必要です。ある空間についているものを、古くなったから変えたいというときにパッと取り出せて、すぐに新しいものが入ることが大事です。しかし取り外したものを使いたい人がいないとリユースは成り立ちません。使いたい人がいないと捨ててしまうので、捨てるのがもったいないと思うものでないとリユースは上手くいかない。まだ長く使える、もう一度使える、他に代わりがないことが重要です。さらには要求の変化が激しいものだとたくさん回ってくる。また循環のスピードが早いこともあります。取り外したものがすぐ、次の人が使いたいものであればループとして回ります。もうひとつは、「ひも」がついている、ということです。取り出したものはどこかに戻って、それをまた誰かが使うために持っていく。ほしい人と思う人がそれらを見つけることが重要ですが、それには限界があります。誰かがそのものに「ひも」をつけていて、引っ張ると戻ってくる、そしてそれをまた誰かが使う、という仕組みが必要です。例えば「写るんです」などのレンズつきフィルムはカメラではなくて、必ず現像という形でメーカーの手元に戻ってきます。皆さんが使っているものは必ず誰かが使ったものです。箱の紙が汚れていれば取り替えますが、箱自体は数回使ったものです。現像という手順を経ることによってつくったメーカーに戻ってきます。そしてまた手を加えて新しいものとしてつくる。そこに「ひも」が発生しています。供給と回収の主体が同じ組織であることは、リユースにおいては重要な考え方だと思います。
容易に取り出せる、分解が簡単である建築の例として、短期間に使われる建築があります。1851年につくられたロンドンの万国博覧会のクリスタルパレスは博覧会用の建築ですから、博覧会後には壊して、また別のところで使おうと考えられてつくられたものです。だから分解しやすいようにつくられ、柱に対して横から梁がきていますが、それを溶接ではなくくさびで止めています。分解するときに、くさびをとれば分解できる。日本の伝統的な木造には継ぎ手仕口があって、釘を使わずに、木と木を組み合わせてつなげています。これも取り外しが簡単にできて、解体や交換が容易です。資源としての再現性や入手困難性によってリユースが実現している例では、沖縄の竹富島の赤瓦があります。これは竹富島特有の特徴的な瓦ですが、現在つくられていません。この瓦が使われている住宅もだんだん古くなっていくので、取り壊そうとしたときに、瓦をもう一度使おうとしています。古い木材も今では手に入らない材料です。こういう希少価値のものならば、人々が使ってみようと思うかもしれないのですが、一般的なものはそうはなりません。そうすると再利用するためには「ひも」がついている、あるいは循環のスピードが速いことが必要です。建築の工事現場には職員が打ち合わせをしたり休んだりする仮設ハウスあるいは現場ハウスと言われる現場の小屋がありますが、これは現場が始まるときに必要で、工事が終わったらいらなくなる。せいぜい1年から2年くらいで循環スピードは速い。ある仮設ハウスのメーカーは、仮設ハウスをリースあるいはレンタルし、使い終わると引き取って違う現場におさめています。これは結局「ひも」がついていることです。この仮設ハウスはさまざまな環境におかれ汚れるので、工場で戻ってきたものをチェックして塗装し直し、また次のところで使われます。大体6、7回ぐらいまでは使われています。
プレハブ住宅でもこのような例があります。ボックスの箱型ユニットでプレハブ住宅をつくっている会社なのですが、普通だと壊されるのですが、まだユニットは丈夫で使えるから工場に戻して、きれいに整え、もう一度使っています。これも製造する場所が回収を保証する、つまり「ひも」がついていることです。「お建替え情報」があって、家が壊されることになると、この会社は「ウチが引き取ります」と言う。そして新しい家を建てたい人が安くできるのなら多少古くてもよいと言うと、そこで商売が成立します。
これはアメリカの例ですが、解体現場やリフォームの現場から出てきたリユースするための材料をこのように売っていますが[fig.4-01]、いろいろなものがあり需要はあります。

fig.4-01

昔は日本でもこういう市場はありましたが、アメリカでは非常に盛んです。アジアでは道端に古い便器を売っているのは当たり前です。フリーマーケットはこれに近いかもしれません。ただ、フリーマーケットとこういう建材屋の違いは扱っている商品自体の経年がフリーマーケットのほうが早い。例えば、便器を1年で変える人はいなくて、5年、10年経って変える人がほとんどで、出てくるもののスピードが遅い。それに価値があれば売れるのでしょうが、そうでないものもある。フリーマーケットの場合、今年の夏はこういう服が流行りそうだから、去年の夏の服はいらない、というように1年ぐらいのオーダーで出てくる。ですから出てくるものも古くないし、傷んでいません。
リユースで、元々あるモノに少し手を加えることで、同じように使い続けていけるかを調べたことがあります。ユニットバスに着目して、ユニットバスメーカー6社の調査をしました。現状のユニットバスは、多種多様な部品や仕様、オプション、さらにはリフォーム専用の部品もあり、古いユニットバスにも何かしらの機能付加が可能で、例えば今までは手摺がなかったけれど、手摺をつければもう少し使えるといった考え方で、買い換えずに延命化できます。使いやすくするためには、交換をしたり、機能を高めたり、機能を加えたり、さまざまなやり方があると思いますが、古いユニットバスならばシャワーヘッドや水栓金具、浴槽を交換したり、機能を向上させようとするならば混合水栓からサーモスタッドがついた水栓に変えたり、手摺を付加できます。こういった方法は、モノの陳腐化を防ぐためには有効です。しかし、例えばユニットバスにはたくさんの部品やオプションがあるものの、新設の段階にこれをつけるかどうかという形で用意されているので、使っている段階、つまり5、10年後にこれをつけられるかどうかという発想ではないわけです。だから既存のユニットバスへの機能付加の対応は少ないというのが調べた結果でした。例えば、既存のユニットバスに手摺をつけたいと思った場合に、ユニットバス自体に手摺をつけるための補強材がついていなかったり、強度が不足してつけられない。下地をつけたいから補強しようと考えたときに、どこにつければよいのか、どうやってつければよいのかもわからないので、最終的には全交換をしなくてはいけない、という事態になったりします。つくるときに後のことを考えてつくっていかなければ、まだまだ使えるものが悲しい最後を迎えることになります。
最後は、リサイクルについてです。これはどのようなものが捨てられて、どのように再資源化するかが重要になってきます。建築ならば、どのようにものを壊すかによって出てくるゴミが決まってくるので、壊し方について少し説明します。これは木造住宅を壊したときの写真です[fig.4-02]
皆さんはこういう風景をご覧になったことはないかもしれませんが、たいへん丁寧に壊しています。畳、サッシ、材木はをそれぞれ分けています[fig.4-03]。今までの解体は、全部まとめて捨てていました。これを分けることによって、木は何かに使える、サッシは何かに使えるようになっています。
fig.4-02、03

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