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FORUM No.05(2007.1.25)

角田誠
住宅産業における3Rの取り組み

SESSION02

なぜ3Rを進めるのか

山本想太郎──今日の話では、聞きたいことがたくさんありすぎて困っています(笑)。でもまずはパソコンのモジュール化の話から補足したいと思います。僕は、パソコンのマザーボードやCPU、メモリーは、元来更新する必要はないと思う。ワープロや表計算ソフトを使うのに、そんな性能はいらない。今パソコンにとって一番負担になっているのはOSです。パソコンのモジュール化を行ったのはIBMとマイクロソフトなのですが、その背景にはまず、彼らのビジネスが発展し続けるために、継続的に商品が売れ続けなければならないということがありました。そこでハードウェアとソフトウェアが常時追いかけっこして新性能を獲得していくための仕組みとしてモジュール化が行われたのです。つまり長期的な利益追求という原動力がきちんとあった。
3Rの話に戻ると、その原動力になっているのは何か、何をもってわれわれはそれをやらなければいけないのかというところの不明瞭さが一番の問題です。個々の工務店さんや住宅メーカーは地球資源の問題にどのくらい真剣な危機感を持っているのか。けれど彼らは取り組まざるをえない状況にある。その原動力は単に制度から発生している規制やお金だけなのか、それともそれを超えるメリットが生まれる可能性があるのかどうか。例えば手間が増えることは雇用が増えるので問題ではないという理屈まで登場すると、結局誰がこのようなことをやりたいと思い、リサイクルを推進しているのか、わからなくなってきます。

山本想太郎氏


角田──直観的に言うなら強迫観念だけだと思います。次の世代のために、とよく言われますが、次の世代の人は自分の子供は見えていますけれど、その次の子供は見えるかどうかわかりません。そうなると何のためにやっているのかが常に疑問です。そのときにあるのは、何かしらそういうことをしないといけないという強迫観念です。今の企業のホームページには環境報告書が載っていないところはありません。それがないと、社会常識的に認められない会社と思われる、そういうことだと思います。社会の風潮なのか、現在の雰囲気なのかわかりませんが、それに乗り遅れてはいけないという「1億総3R」のような怖さを感じます。

山本──そういった企業も何らかのメリットがあるという算段はしているはずです。例えば今後国の規制がもっと厳しくなるとものすごくコストがかかるから今のうちから取り組んでいるのかもしれない。そうだとすると、その規制をつくる側がどういう理念を持っているかです。先ほどのプレハブ住宅メーカーの例だと、解体の広域認定制度は、社会的な格差を生みかねないと思う。それができない小さい工務店は、解体工事を請け負えなくなる可能性があるからです。こういう格差を生んでしまうと、どのような制度をつくっても文化にならない。性急な制度というものが、かえって文化としてある概念が熟成することの足かせにもなりかねないと思いますが、その辺はどうでしょうか。

角田──最近静脈産業も成熟してきていますが、動脈産業が静脈産業とうまく組まないと、循環の輪が回っていかないと申し上げたかったのです。静脈産業の技術開発にも限界があるので、つくる側が壊す側に入り込んでいけるのかどうか。例えば、力がある大きな企業であればそういうことができるかもしれないけれど、小さな企業に対してはプレッシャーやストレスがかかってしまう。これは当然だと思います。まだまだ政策がそこまで至っていないからで、まずは大元からから潰していくことになると思います。しかし意識が高く、こういう取り組みをやっている自治体、零細の組合や大工さんでも仕組みをつくって細々とながらもやっているところも少しずつ出てきています。こういうところは、あまり無理せずに自分たちのできる範囲でチームを組んでやろうとしているのでよいかたちで進んでいると思います。大企業の場合だと、本当にそこまでやるのかというぐらいまでやって、地に足が着いていない部分が少し感じられるのですが。地場でやっている方々は真摯に、自分たちのできる範囲でやっているので、このような取り組みが広がればよいと思っています。

タイルのリユース、リサイクルについて

山本──あともうひとつ、INAXさんの重要な生産物であるタイルなどの材料について、そういう焼物材料のリユースやリサイクルの試みや制度は、今日の話題で出てこなかったと思います。現在どういう動きがあるのか興味があるのですが。

INAX──タイルをどうやってリサイクルしているかというご質問ですが、大きな建設現場で使われた残品のタイル破材を、広域認定制度を使って、タイルの製造現場に戻す試みを少しやっています。大々的にできない理由は、いろいろ問題がありまして、広域認定を通ったからといってタイルやリフォーム現場で出るタイル建材すべてをリサイクルできるかというと、そうはいきません。ひとつは製造上の問題、もうひとつは金銭的な問題があり、非常に苦しんでいます。

山本──タイルを回収して、壊して、砕いて、またタイルとして焼くことはやっているのでしょうか。

INAX──それは全部やっています。工場の不良品を生産現場に戻すということは当然やっています。ただそれ以上戻せるかというと、技術的な問題が入ってきます。最近取り組みとしてよく出てくるのが、食器系のリサイクルです。岐阜県では使用済みの食器をもう一度戻して、リセットというかたちで新しい食器をつくり、また買っていただくという環境教育もやっています。弊社でも技術的にやろうと思えばできるのですが、そこまでやる意味があるのかなど、いろいろな問題があり、そういったことはまだやっていません。

角田──製造上の問題が大きくて、ガラスもそうです。ガラスのリサイクルはすごく進んでいますが、工場製造段階で割れてしまうガラスがたくさん出て、それで一杯なのです。そうなってくると現場で出てきたガラスを持ってきても、もうどこにも入れるところがない、というのが正直なところらしい。だからガラスからガラスというのはほとんどなくて、ガラスから違うものへということになってしまう。そこまでやる必要があるのか、という問題もあります。

山本──タイルをリサイクルするエネルギーやコスト負荷が結構大きいのなら、本当はリユースができればよいのでしょう。しかし瓦も一度はずすと通常は壊れてしまいますし、タイルのリユースはさらに不可能にも思えますが……。

INAX──残念ながらタイルのリユースはなかなか厳しい。基本的にモルタルやリネンなどがついているので、それをきれいに剥がしてタイルとして使うのは難しいです。

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