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FORUM No.05(2007.1.25)

角田誠
住宅産業における3Rの取り組み

LECTURE02

3Rの法制度

角田──次は法律についてですが、わが国には資源型社会形成に向けて循環型社会形成基本法という法律があります。ここには、例えばものをつくった人はそれが捨てられるまで責任を負うという製造者責任が、そして、ゴミが処理される最後まで責任を持つ排出者責任が謳われています。ゴミを捨てるときに、その自治体が売っているゴミ袋を使わないと捨てられませんが、それは排出者責任を実行していることになります。循環型社会形成基本法の下位に具体的な法律が用意されています。そのひとつが資源有効利用促進法(リサイクル法)です。ここで3Rが謳われていて、「必要な3Rの取り組みを総合的に推進するための法律である」「特に事業者に対して3Rの取り組みが必要となる業種や製品を政令で指定し、自主的に取り組むべき具体的な内容を省令で定める」とされています。そして「10の業種・69の品目を指定して、製造段階における3R、設計段階における3Rの配慮、分別回収のための識別表示、事業者による自主回収・リサイクルシステムの構築」などが細かく決められています。
業種に関しては「特定省資源業種」と「特定再利用業種」が指定されています。省資源業種とは「副産物の発生抑制等に取り組むことが求められている業種」です。副産物というのは、各々の業種が最初につくるもの、そのつくる段階で出る廃棄物のことで、それを少なくしなければいけないわけです。もうひとつ「特定再利用業種」というのがあり、「再生資源・再生部品の利用に取り組むことが求められる業種」となっています。再生した資源や部品をなるべく使いましょうということです。紙はリサイクルすることが当然で、建設業もこの業種に入っています。どの業種がここに入るかは産業構造審議会が決めていますが、今後増えてくると思います。各々の業種が、どういう取り組みをするかは経済産業省の委員会で議論してガイドラインをつくります。
具体的に指定されている製品として、まず指定省資源化製品というものがあります[fig.2-01]。これは使用の合理化などを通じ、ゴミの発生抑制に積極的に取り組むことが求められているものです。それから指定再利用推進製品があり、これには再生資源、または再生部品の利用促進に取り組み、リサイクルやリユースしたものの積極的な使用が求められます[fig.2-02]。ここにINAXさんも関係する浴室ユニットやシステムキッチンが入ってきます。こういう指定がされると、キッチン・バス工業会のような組織がリサイクルガイドラインをつくって、それに則って再利用を推進します。指定表示製品というのもありますが[fig.2-03]、分別回収をするときにマークをつけなさいというものです。このマークはリサイクルで重要で、ゴミとして出てきたものが何でできているのかがわからないとリサイクルもできなくなるので、それを刻印するわけです。あと指定副産物です[fig.2-04]。これは建設業に非常に多いのですが、とにかくリサイクルをしなさいという対象物です。生産・製造段階において出てくる、例えば建設現場で発生するコンクリートのようなゴミをもう一度使いましょうということです。

左上fig.2-01 右上fig.2-02 左下fig.2-03 右下fig.2-04

3Rとは、リデュース・リユース・リサイクルの頭文字を取ったものです。リデュースは発生を少なくしましょう、リユースはもう一度使いましょう、リサイクルは再資源としてもう一度使いましょうということです。リユースとリサイクルはよく混同されます。リユース、再使用は使われたものを回収し、処置をして同じ製品として再使用することと解釈してください。リサイクルは使用した製品を回収して、それをもとに違うものをつくることです。再使用、再資源化するために投入するエネルギーを比べると、圧倒的に再資源化のほうが多い。再使用はもう一度同じように使えばよいのですが、再資源化の場合はそうではないことが理由です。
現実には3Rではなく5Rが正しいのです。4番目のRはリカバリー(Recovery)、5番目のRはリターン(Return)です。われわれが子供の頃は5番のRで、とにかくリターン、地球に返すことが行なわれていました。しかしそれではもったいないと言われるようになりました。ゴミ焼却場の廃熱を利用したプールはゴミを燃やしてリカバリーのエネルギーを使おうと始められたものです。さらにもっと上手く使えるのではないかと考えられ、リサイクルという言葉が出てきました。リカバリーという言葉が出てきたのは第一次オイルショックの頃で、廃熱利用のプールは石油エネルギーを使うのはよくないと考えられたものです。それから日本におけるリサイクルは南洋材の伐採による地球環境の悪化がきっかけになっています。日本は大量の紙を使っていたという背景があり、紙をとにかくリサイクル、再生紙にしていこうということで、リサイクルが積極的に行なわれるようになりました。つまり5番目のRから4番目、そして3番目になってきたわけです。紙のリサイクルは上手くいったのですが、それ以外のリサイクル技術はなかなかできませんでした。そこで捨てないようしようということで1番のRが出てきたわけです。日本が目指す循環型社会の3Rには、このような背景がありました。

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