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●植物が住む家
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塚本由晴――今回の《植物の家》[TOPページ地図:R3]は貝島桃代と一緒に考え、筑波大学の貝島研の学生と一緒にやったものです。われわれは青木さんや日埜さんとは違って、最初は都市の研究のほうから入ったものですから、ずっと水戸の街を歩き回っていました。街を歩いた印象として、駐車場が多すぎ、それが街の連続感を阻害しているというのがありました。建物が使われている状態から何らかの理由で使われなくなって閉鎖され、さらにそれが場合によっては不良債券化し、銀行などが入ってくると建物はすぐに壊されてしまう。そして空地の状態のほうが次のテナントや買い手がつきやすいということで、どんどん建物がなくなっていく。なくなった状態で多少お金が稼げるので駐車場として運営していくというかたちで水戸の街というのが変化してきていると理解したんです。 |
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●解体から完成まで
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なかはかなり混乱した状態で、川俣正展ではないかと思うくらい新聞がぶちまけてありました[fig.5]。ただ、胸がキューッと締めつけられるような生々しさをともなった生活の残滓がある内部だったんです。水戸芸術館の久保田さんがあまりの異臭にハンカチを巻いているところで、こういう状態でした[fig.6]。
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解体を始める前に家のなかのものを出していくプロセスです[fig.7]。これは青年会議所のみなさんに本当に協力してもらい、建物だけの状態にしたところです[fig.8]、そこに学生と一緒にのりこんで解体を始めました。まず床を外して土を出した状態です[fig.9]。今度は壁を壊すんですが、ときどき転んだりして結構危ないんです(笑)[fig.10]。解体途中というのはすごい美しい光景がときどき現われて、粉塵が舞い上がるなか光が差し込んだりfig.11、骨組みが出てきたりして不謹慎かもしれないんですけれども、解体というのはすごく面白い。
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屋根をいよいよ外そうというので、プロの解体業者の方に屋根の瓦を外していただきました[fig.12]。そして骨組みを出してたまっていたホコリをみんなで払いました。fig.13・14が一応屋根も床も抜けて、あとは植物の引っ越しを待つ状態です。建物の外から見ると、外観はわりとできるだけもと通りに残そうとしたので、建物のなかに入ると突然抜けて青空が見えます。青年会議所のメンバーの倉庫の脇にある草原がよいというので、そこにトラックで行き、草堀りをしました[fig.15]。草をトラックに積んで、みな満足そうな表情をしていましたが(笑)、すごく楽しい。次に土を入れる班と草を掘る班にわかれ、土を入れ草をどんどん植えていきました[fig.16]。草をはじめて入れた晩はみな舞い上がって、照明をたいて青年会議所の方々の支援のもとにバーベキューをしました(笑)[fig.17]。
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fig.18が現状です。外観はできるだけもともとの建物のままにして、なかに入ると、「あれっ、おやっ」と驚くようになかに庭や草原がなかにあるという状態をつくろうとしました。この作品は時間によって表情が変わるので、朝見たときと夕方見たとき、雨が降ったときとでは雰囲気が違うので、何度か足を運んでいただければと思います。何も加えることなく水戸にあるものを組み合わせて独特な体験ができる場所をつくりたかったというのがわれわれの作品の意図です。[了]
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[2004.7.31] |
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