●なぜリノベーションか 青木淳──今回は3つのプロジェクトで各々が別々のことをやっているので、同じリノベーションとはいっても、ひとつの建物をどう変えるかということでそれぞれずいぶん違うことをやっていると思います。そういうこともありますので、リノベーションということを僕がどういう意味で使ったり、考えたりしているかということを手短にお話したいと思います。
●ルイ・ヴィトン/結晶としての建築
●空間を読み替える 次にお見せするのは、一昨日にできあがった住宅なので写真はまだありませんけれども、これは基壇のうえにのっている《G》という住宅の模型です[fig.14・15]。実際には下にコンクリートの台座があって、上に建物がのっているわけですが、この建物はなかに入ると基壇の部分が居間になっています[fig.16]。普通基壇には何も入っていないわけですが、これは上の住宅の、本来なら部屋があるところが下に引きずり出されて基礎の下に部屋がある。その分上がスカスカになるので建物の形に見えるところが大きいトップライトのようになっている。そういう家です。これはまったく新しくつくったのですが、基壇の上にのっている家というものはすでにあるわけです。そのあり方を変えることで、今までにあまりなかった住宅ができてしまうという例です。このような意味で一部しか変えないけれども、そのなかの建物全体の読み替えがうまれるということをリノベーションとして考えてきました。今回のものはそれを純粋な意味でやれるチャンスだったので非常に面白かったです。
[2004.7.31]