Renovation Archives[105] ●レストラン[電話交換室→健康管理所→レストラン] NTT西日本AP東海支店《ボンヴィヴァン》
取材担当=川畑華子(三重大学)
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概要/SUMMARY | ||
設計概要 ●所在地=三重県伊勢市本町20-24 ●レストラン[電話交換室→健康管理所→レストラン] ●構造=レンガ造 ●規模=地上1階 ●延床面積=550平米 ●竣工年=1997(平成9)年(既存:1923[大正12]年11月) ●企画=河瀬毅 ●設計=NTT西日本AP東海支店(既存:吉田鉄郎) ●築年数=84年 ●管理運営主体=NTT西日本AP東海支店 |
![]() 現在の外観 ![]() 外観 ![]() レストラン客室 ![]() カウンター ![]() 屋根部分 |
食物・穀物の神である豊受大御神を祀る伊勢神宮外宮のすぐ目の前に、旧山田郵便局電話分室を活用したフランス料理店「ボンヴィヴァン」はある。旧山田郵便局電話分室は、現在、明治村に移築されている「宇治山田郵便局」が手狭になったため、電話交換室として吉田鉄郎の設計によって増築された。本庁舎の宇治山田郵便局は、1999年に旧郵政省が建築したもののなかで初めて重要文化財に指定された。この建物は電話分室の後に伊勢健康管理所として利用され、その役目を終えた現在、地元伊勢の食材を使ったフランス料理店として活用されている。地元出身のオーナーシェフは、歴史を感じさせる重厚な建築であり、かつ地元の人に長年愛されてきたこの美しい建物を、自らがレストランという形で再び活用することを考え、その歴史に恥じない料理とサービスを提供している。 設計者である吉田鉄郎(1894〜1956)は《東京中央郵便局》や《大阪中央郵便局》などを設計し、「逓信建築」あるいは「郵政建築」と呼ばれる独特のジャンルの中で、その土台となるモデルをつくりあげた日本を代表する建築家の一人である。旧山田郵便局電話分室は外壁前面に連続する背の高い窓、軒先に反りをつけた強い勾配をもつ赤煉瓦屋根や、表面にモルタルを塗ることで鉄筋コンクリート造のように見せる手法など、吉田が西欧で学んだドイツ民家の建築の佇まいを思わせる建物である。 |