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FORUM No.04(2006.12.7)

遠藤和義
工務店ビジネスとホームセンター型建材流通の可能性

LECTURE03

オルタナティブとしてのホームセンターを拠点とした建材流通、住宅供給の可能性は?

遠藤──ここから後半のホームセンターに話を繋げていきたいと思います。わが国のホームセンターは1970年代に始まったと言われています[fig.3-1]。以降の過程ではいろいろな業態にシフトするものが現われ、取扱商品も相当に増え、スタートのDIY向けから、プロ需要やリフォーム事業の取り込みにまで広がっています。ホームセンターにおける建材の売上額は、この10年で倍以上になっています[fig.3-2]。職業別電話帳で調べると豊島区や板橋区では、材木屋や建築金物店が相当に廃業しています。廃業の理由はいろいろあると思いますが、こういったところをホームセンターが代替しているようです。ただし、内外装材、サッシ、住宅設備機器などは、メーカー間で提携して営業を一本化して、住宅1軒分の建材全体を取ってしまうという戦略でやっています。ある売り出し中のビルダーは、お客さんがどのようなサッシや設備を使いたいと言っても定額で調達するような契約を商社と結んでいるそうです。10年ぐらい前からマンションがそうなっているという話は聞いていましたが、今はビルダーの一部にも広まっています。ですからホームセンターで住宅一戸分の建材を買う工務店はなくて、リフォームや小さな工事のときに補助的に建材を買う場合が多いようです。
ではホームセンターはいかなる方向に向かっているのか。大きくは2つの方向があります[fig.3-3]。DIY、BIY志向とプロフェッショナル志向の2つです。BIYとは、エンドユーザーがお店で材料を買って、ホームセンター経由で加工や取り付けに必要な職人を手配してもらう「Buy It Yourself」のことです。大規模なホームセンターでは、建材メーカーのショールーム的な性格が強くなっています。お客さんがそこで頼む。ホームセンターも建設業許可を取って施工部隊を抱えて、工事部門に出るところもあります。工務店のなかには営業や保証など対顧客の部分でのメリットから、その傘下に入ろうとするものが出てきています。

上:fig.1 中:fig.2 下:fig.3


アメリカにHomedepotというホームセンターがあります[fig.3-4]。これは、日本市場にいつか来るぞと言われながらいまだ来ていませんが。1978年の創業で売上高も社員数も業界トップクラスです。1970年代のアメリカは景気が悪く、失業した大工、職人をHomedepotは雇用したと言われています。それによって、BIYを可能にしたのです。日本も既存の大工・工務店による生産システムのオルタナティブとして、リフォームやリニューアルの分野でこういうサービスは相当に可能性があるのではないかと考えています。
それからプロ向の支援があります。朝6時半からやっているホームセンターがあります。時間帯によっては工務店や設備業者で駐車場は埋まります。現在、従来の建材流通チャネルは工務店の支払い状況の悪化の影響を受けて苦しい状況にあるという話をよく聞きます。流通チャネルの維持にメーカーが金利負担など相当費用をつぎ込んでいるということがあるようです。ホームセンターでは、こうした与信管理が難しいと考えられるのですが、プロ用にクレジットカードを出しています。基本の与信枠は月間50万円程度ですが、実積によって200万位までは大丈夫なようです。クレジットカード会社の与信管理能力でそうしたリスクを遮断しているわけです。

fig.4

ドイツでは、ホームセンターをインフラとして、Ausbauという半完成住宅のジャンルがあります[fig.3-5]。建築家やメーカーが半完成住宅を施主のために設計、施工するわけです。技術的難度が高く、危険作業を含む躯体はプロがつくって、後の内外装はDIYで素人がつくる。サポート・インフィルのコンセプトに通じるところがあります。これはその実例ですが、ビルダーが木質系の大型パネル型で躯体を完成させて、屋根葺きはプロがやってもDIYでやってもよく、内外装の仕上げはこのようにDIYでやります[fig.3-6]。Ausbauのカタログでは、DIYでやるか、プロに頼むかを選べます。その際コストの違いもわかります。日本では、住宅全体を一式請負でサービスするのが常識ですが、海外ではそうでない場合も多く見ています。例えば中国のマンションは基本的に仕上げなしの半完成で販売されます。後はエンドユーザーがDIYやプロに頼んでやる。これもドイツの典型的なDIY住宅で、発泡スチロールの型枠が外断熱材と内断熱の断熱材を兼ねて、レゴのようにを積み上げています[fig.3-7]。完成したら、コンクリートポンプ車を呼んで躯体をつくります。これにはいろいろなシステムがあってインターネットで検索するとたくさん出てきます。

上:fig.5 中:fig.6 下:fig.7

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