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FORUM No.02 (2006.8.28)

望月久美子
「住生活1000人調査 2006」──住宅像の現在

LECTURE04

複数住居の可能性

webでもう少し先の暮らし方ということで、リタイア後の暮らしのイメージも聞いてみました。ここでも男性と女性では夫婦の歩み方の違いという差が出ていて、男性はできるだけ夫婦で旅行したり、相変わらず自然に親しむ静かな生活という答えが出てくるのですけれど、女性は「気の合う仲間と過ごす時間を増やしたい」「現在の生活をあまり変えない」という答えで男性と際立って違っています。それから自己実現欲求が男性より強く、「趣味や自分の世界を充実させたい」「今までできなかったことや新しいことに挑戦してみたい」という希望があります。リタイア後は夫婦一緒に自然と親しみたいダンナに対して、「少しは私のこともやらせてよ、夫婦以外の仲間と一緒に過ごす時間もほしいの」という奥さんに違いを感じるところなのかもしれません。
次に住まい方としてどのようなことを希望しますかと聞いてみました[fig.4-01]。想像はつくと思いますが、ここでも男女差が出てきました。ここも男性は「田舎やリゾート地などに移住したい」という夢がボンと出てきて、対して女性は「駅に近い便利なマンションに住みたい」という現実的な希望がある。真っ向からぶつかっているので両者なかなか実現しにくい。また都合よく両者が折り合う住まい方としては複数地域居住で、「便利な都会と自然の豊かな地域を行き来する」「ロングステイなど一定期間海外で暮らしたい」という希望をかなえ、こういう住まい方の中で気持ちを落ち着かせていくことはあると思います[fig.4-02]。そういった新しいところで住み替えを考えたときに、街に欲しい施設は何かと聞きました。生活利便施設、病院関係などはトップなのですが、意外だったのは「散歩が楽しめる緑道や公園」です。欲しい施設を3つ選んでくださいという設問で選ばれた3番目が「散歩が楽しめる緑道や公園」でした。これはちょっと意外でした。温泉や文化施設に反応するかなと思ったのですが、やはり日々の暮らしで必要なものを選んでいると思います。

fig.4-01[拡大] fig.4-02[拡大]


それから実際に移住したい、複数地域居住をしたい、ロングステイをしたいと考えた場合、現実的に購入か、賃貸かと聞いたとき、当然移住という場合には借りるというパターンよりも購入してしまおうということで、たぶんこの辺は実行するとなると現実的にもハードルが高くなるという感じはします。しかし、複数地域居住希望の中には借りてもよいとの意見もあり、このあたりについては供給側の工夫があってもよいと思います。次に、実際に移住や複数地域居住の場合の障害について聞いたのですが、まずは経済的理由です。それから配偶者や家族の同意を得ること、親の介護や家族の問題。それから自身の体力や健康への不安で、経済・家族・健康の3Kです。これらをどのようにクリアするかで、現実に移住や複数地域居住を実行できると思います。ですから経済面では借りるという形で対応する、介護についてはサービスをどのように受けるかなど、いろいろ考えられると思います。
最後になりますが、男女の意識の違いということで50歳代をみたときに、住み替えるニーズで見ていくと、住み替え以降というのははっきりいって50代になると下がっていって、前半と後半を比べても後半になると下がってくる。その代わりにリフォームがクローズップされ、住まい方を変えるという意味でこの世代にとってのリフォームの役割はやはり大きい。それから、実は男女の間で住まい方に対しては重視している点が違うことが見えたかと思います。でも結局ところ、別々に住むわけにはいかないので一緒に住もうとするわけですから、どのように折り合っていくのかが課題になってくると思います。

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