Renovation Archives [020] 田島則行(テレデザイン) ●事務所[スタジオ] 《オープンスタジオNOPE》
取材担当=西瑠衣子
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概要/ SUMMARY |
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左:リノベーション前内観 |
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■社会のオペレーションモデルとしてのオフィスリノベーション |
●主要用途=シェアスタジオ ●構造=木造 ●規模=地上2階 ●延床面積=77坪 ●リノベーション年月日=1996年11月 ・建築年月日=1970年頃 ●所在地=東京都港区三田2-12-5 ●企画・運営=田島則行(テレデザイン) ●施工=アルナック、セルフビルド |
右:オープンスタジオの様子 社会的なネットワークを構築するために、オープンスタジオNOPE(以下NOPE)では年に1回はオープンスタジオを実施している。そこではイヴェントやワークショップなどが行なわれ、建築家やアートなどのさまざまな職種のクリエイターが集まって交流する。最近では麻布、六本木に複数あるシェアスペースと連携して、東京オープンスタジオネットワークを開催し、それぞれの場所をつなげて広がりのある活動の展開を目指している |
プロセス/PROCESS | ||
上:リノベーション前。木造であるが柱の少ないオープンな空間で、柱は茶色に塗装されていた |
■コメント
特質を持った空間に触発されて人がつながるという現象は、例えば同潤会アパートのように古い建物を見るため、守るために人が集まることと同じであろう。 この現象は、これからの地域づくりや街づくりのための人材の集まり方を暗示している。《NOPE》は、リノベーションがワークショップとして機能することで、ネットワークの発生を促したと言える。 《NOPE》の構成メンバーはほとんどがクリエイターであるが、それは彼らの生産リソースが、「都市環境」に大きく依存していることと関係している。なぜなら、《NOPE》内での彼らの緩やかなネットワーク、微妙な情報の共有の仕方は、まさに都市の部分集合と言えるからだ。彼らは、そうした都市のリソースを自分のものとして自由に操ることで活動している。それは新しい都市の生産者モデルと言えるかもしれない。そして、《NOPE》のようなネットワーク形態は、その新たな生産者たちが接続しようとする社会のアナロジーとして存在しているのであろう。 《NOPE》のリノベーションは、そこに集まる人々が「こうあってほしい」と考える都市や社会に対するオペレーションの実験的モデルなのだ。
(西瑠衣子)
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