Renovation Archives [017] Ib. e. w. s.[井坂幸恵] ●シェアオフィス[オフィスビル] Mco-O(マイクロ・クリエイション・オフィス-大みか) |
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概要/SUMMARY |
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写真左=竣工前 手前の自転車置き場や柵はすべて撤去 写真右=完成予想図。25年前のファサードを一新すべく構想された |
■茨城県日立市長が理事長を務める「日立地区産業支援センター」と地元民間のビルオーナーと組み、ベンチャー支援施設、Mco-O(マイクロ・クリエイションオフィス・大みか)の2棟目として2004年9月にコンバージョンした半民半官の試み。 日立市は、日立鉱山を擁した日立製作所の城下町として長い歴史をもつ一方、バブル以降は経営不振の煽りをくらい長年人口流出が続いている。今後は特に若いゼネレーションが地元に定着できる新しい産業の育成と環境整備が大きな課題となっている。その具体的な活動の一環が、Mco(マイクロ・クリエーション・オフィス)の展開である。これは、ベンチャー起業家が、2年間は家賃の半分を市から助成が受けられるオフィススペースのことで、今回のMco-Oは、民間施設を民間が主体となって、官と共同でコンバージョンを企画し運営する日立市でも初めての試みである。 ちなみにMco-Oとは、JR大みか駅が至近で市内でも情報関連の事業所が集まる大みか地区の「大みか」の頭文字を末尾に付けたもの。 建物は築25年の3階建て鉄骨造。当初ソフト開発社屋として建築されたため、電気設備は受電関係からメーター類、幹線、照明、空調機まで。トイレなどの衛生設備も旧態前としており全面的な改修が求められ、設備は新築と同等、加えて雨漏りの改修などが工事の中で大きなウエイトを占めた。また、オーナーが経営するヒバラ・コーポレーションは金属塗装からソフト開発などを手がけており、今回はモデルケースとして入退管理に際して指の静脈認証を採用している。 デザイン面においては、これまでの執務空間の基本であるユニバーサル・スペースとベンチャー起業が求めるオフィス環境の違いを念頭に計画した。ベンチャー起業は、これまでの大企業主体の顔の見えないグレーな空間とは180度趣を異にし、そこに集まる人々や新しい産業を生み出す価値観を表現するべきと考えた。 具体的には、海の見える豊かな展望がどこからでも得られるよう、執務室を放射状に配置。室内はモノトーンながら既存部分と新規部分にメリハリをつけている。 一方、1階エントランスやラウンジ、各階ホールなどの動線や共有スペースでは、限られた建築費でもパターンや素材、指し色の統一など、ガラっと雰囲気を変え日常的な気分転換となるようダイナミズムを出している。金属加工に強い日立お膝元の技術を活かし、エントランスのレリーフや洗面台などはステンレスのカスタム品を随所に採用した。またファサードは、Mco-Oのロゴをシンプルなパターンとしてアレンジを効かせている。 ベンチャー起業とオフィス環境のデザイン性が一体となった今回の提案が、今後のベンチャー起業支援施設の雛型として、それ自身展開できるよう、その手法の明解さと快適さを継続していきたいと考えている(b. e. w. s.井坂幸恵氏)。 |
設計概要 ●用途=ベンチャー支援オフィス ●構造規模=構造規模=地上3階 ●主体構造 主体構造=S造 ●総オフィス数=計10室(うち6室が助成対象)、21〜62平米 ●建築年月日=1980年代 ●リノベーション年月日=2004年8月 ●企画=日立地区産業支援センター ●事業主=小田倉久視(株)ヒバラコーポレーション ●設計・監理=b. e. w. s.井坂幸恵+田辺雅之 |