Renovation Archives [013] クライン・ダイサム・アーキテクツ(KDa) ●SOHOオフィス[オフィスビル] 《R3 Akihabara》
取材担当=大家健史
写真=©Daici Ano |
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概要/SUMMARY |
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リノベーション前外観 |
リノベーション後外観 |
■地元法人が自社ビルとして使用していたものを大規模改修、店舗、事務所(1〜5階)、住居(2〜4階)としても使用可能なSOHOにリノベーションした。リサ・パートナーズとクライン・ダイサム・アーキテクツの共同プロジェクト「R3」の第2弾《R3 Akihabara》だ。 |
設計概要 ●主要用途=SOHOオフィス ●構造=鉄骨造 ●規模=地上5階 ●敷地面積=85.17平米 ●延床面積=321.88平米 ●竣工=2004年5月(既存:1980年1月) ●設計=クライン・ダイサム・アーキテクツ(KDa) ●施工=丸紅設備 |
穴の開いた光触媒テント膜がスクリーンとなっている |
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プロセス/PROCESS | ||
■住居としてのプライバシーをある程度確保しながら光も入れたい。その要望に応えるために既存建物の外壁はそのままにして、その上から光触媒テント膜を被せ、スチールフレームで固定している。 各階のSOHOスペースはワンルームの大きな空間とするため、天井をとってデッキプレートを剥き出しにして白く塗装した。壁は軽鉄下地の上に白クロス貼、床はシルバーのPタイル。照明は蛍光灯よりあたたかいライティングを狙ったハロゲンダウンライト。設備はユニットバスやキッチンなどをサービスボックスとして新しく入れ替えた。サービスボックスの壁に他と違ったシルバー柄のメタリックな壁紙を貼ることで、白い大きな空間のなかにボックスが付加していると感じさせる。 エレベーターの隣には洗濯機置き場が設けてある。玄関、廊下、階段などの共用部分は床・壁・天井をブルーにすることで他のスペースとの違いを明確にしている。様々なブルーを配色しているのは、リサ・パートナーズのロゴがブルーで構成されているから。「リノベーションのプロジェクトの場合は部屋が小さいのでそれを大きく見せるために白が一番いいんだけど、白だけだとつまらないのであまり時間を過ごさないところに思いきった色を使っています」(クライン・ダイサム・アーキテクツ、アストリッド・クライン氏)。 |
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上左:リノベーション後外観 玄関部分はブルーに塗られている 上右:リノベーション後外観(夜景) 下左:各階平面図 下右:立面図 |
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SOHOスペースからサービスボックスを見る 天井は剥がし、デッキプレートなど白く塗ることで空間をできるだけ広く見せるようにしている。サービスボックスはシルバー柄のクロス貼。奥にはブルーに塗られた共用の階段が見える |
SOHOスペースから窓側を見る 外壁に取り付けられたテント膜に開けられた穴から外の風景が見える。左手前はサービスボックス |
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外部スクリーン夜景 内部からほんのり光がもれ、スクリーンがうっすら光る |
■コメント このプロジェクトでは空室を抱えるオフィスビルの問題に対し、明解な手法でいとも簡単にコンバージョンに成功させている。建物の開口部を膜で覆うだけで、こんなに素敵にオフィスビルを住居に転用することができるのだ。テント膜により内部のプライバシーを守り、高い透光率を確保し、室内の温度上昇を抑える。また、それに穴を開けることで風を通し、外の景色を見ることができる。ひとつの操作によって多くの効果を得たコンバージョンの実例である。
(大家健史)
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