Renovation Archives [004]
青木茂建築工房[青木茂]
● 中学校体育館・武道場リファイン

概要/ SUMMARY



写真左=着工前の体育館
写真右=コンバージョン 後の体育館
2004年02月完成

八女多世代交流館が完成した1年後、それが評価され て、八女市長から「福島中学校の屋内運動場をリファインしたい。市の職員か ら青木さんに頼んではと提案があった。耐震診断を依頼した福岡県建設技術情 報センターとの共同作業でやってほしい」と連絡をいただいた。早速、福岡県 建設技術情報センターの中尾良教氏に電話して現場の検証を行なった。
築40年 を経過してコンクリートはかなり中性化が進んでおり、難しい仕事になると判 断したので、お互いにアイディアを出し合い、調査結果を待ちながら並行作業 を進めた。調査結果で出た中性化の度合いは想像以上に悪く、平均で90%を超 える状態であった。そこで、建物の軸力と水平力を完全に分けて計画した。水 平力は四隅にコンクリートと鉄骨によるブレースで耐震壁をバランスよく配置 して行なう。中性化対策は、いろいろと調べてみたが名案が浮かばず、東京大 学の野口貴文先生にアドヴァイスをお願いすることにした。
「極端 に中性化が進むとコンクリートはもろくなり風化がおこる」とのことだったの で、柱が30年で30%やせる仮説を立て、軸力の30%を既存RCの柱に沿わせた新 しい鉄骨丸柱114φによって負担させた。これをデザインのきっかけとし て全体のプロポーション、工法を決定していった。
トップ ライトと地窓によって風の道をつくり、体育館内部の人体から出る二酸化炭素 を早く屋外へ排出することで中性化の進行を抑制、また既存柱はアルカリ性付 与材と中性化抑制処理材で補修、中央3本左右6本の柱はカーボンによる補強。 そしてその上から仕上材の杉板で柱を覆うことにより多少でも二酸化炭素から の影響を避けようと考えた。
耐震壁 の室内側には既存の体育館の床材を再利用し、壁仕上げ材として使用、資源の 再利用と歴史の記憶を残す手段とした。屋内運動場という金属的な空間を木製 ルーバーで覆うことにより柔らかい空間に仕上げた。
また、 外壁の仕上げは、ガルバリウム鋼板の黒を採用し、八女の街並をメージした外 観をつくった。増築した武道場は別棟扱いだが。通風は体育館と同じく地窓、 ハイサイドで風の道をつくり、採光はハイサイドのみとすることにより単に武 道場だけの利用にとどまらず、音楽会や演劇など、多様な活用を期待してい る。

設計概要
用途=屋内運動場/武道場
構造規模=階数 地上2階
主体構造=屋内運動場/鉄筋コン クリート造 一部鉄骨造 武道場/鉄骨造造
面積規模=延床面積 1,326.23平 米(屋内運動場/1,099.19平米 武道場/227.04平 米)
建築=青木茂建築工房 担当/青 木茂 池浦順一郎
構造=田中構造設計
設備=森村設計
施工=屋内運動場/西松・オオキ タ特定建設工事共同企業体 担当/石川譲 佐藤誠
武道場/株式会社中嶋工 務店 担当/中嶋慧部
施工プロセス/PROCESS

左はリファイン前の体育館
右は工事中の様子



1F平面図



2F平 面図

竣工/COMPLETION

←夜景

左:リファイン後の武道場外観。
右:武道場内部。コンサ ートなども行なわれる。
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