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FORUM No.06(2007.3.19)

松村秀一
「200年住宅」と住宅産業の未来

SESSION01

これまでの議論のまとめ

山本想太郎──今日は住宅産業フォーラムのこれまで5回の総括的な議論をしたいのですが、いま松村先生からお話いただいた「200年住宅」も今まで議論してきたことの縦軸になるテーマだと思います。まずこれまでのフォーラムでどういうことを話してきたかを簡単に振り返ります。
第1回目の野辺公一さんは工務店のネットワークをつくる活動をされています。アメリカの全米ホームビルダー協会は、工務店にとってのメリットもあり、協会もうまく運営できていること。また工務店の経営が危機的状態にある状況のご説明がありました。そこでマスター工務店登録運動という活動をインターネットを利用してやっていらっしゃるというお話しをしていただきました。
第2回目の東急住生活研究所の望月久美子さんは、「住生活1000人調査」に関するお話でした。望月さんは消費者側がどういう住宅像をもっているか、特にこれから団塊世代のマーケットが注目されていますが、50代の住意識がどういう消費行動をとってくるのかをリサーチされ、その結果をもとに話していただきました。どのような家に住みたいかというリサーチの結果、一番優先されるのが「どの場所に住みたいのか」ということで、特に50代以上の夫婦の場合、男性は緑豊かな郊外に住みたいと考えている一方で、女性はもっといろんなコミュニケーションや便利さを求めていて、夫婦という単位で考えられてきた家族形態の中でも、若干の意識の乖離が出てきているということが印象的でした。
第3回目の三菱総合研究所の吉池基泰さんは、住宅が供給されるシステムが不透明であるという問題意識をもっていて、このフォーラムで何度も提示されてきた「縮小する新築市場」という問題のなかで、消費者がどういうことに不安を持っているかについてお話をされました。その第1位が手抜き工事をされないかという点で、ほかにも予算の問題や本当によい家をつくってもらえるかという不安などがあるなかで、住生活エージェントという職能を提案をしていただきました。住生活エージェントは本来建築家が果たさなければならなかった役割ですが、住宅をめぐるシステムがあまりに複雑なので必要となるというお話でした。
第4回目の遠藤和義さんは「工務店ビジネスとホームセンター型建材流通の可能性」というテーマでお話しいただきました。大工工務店のビジネスモデル、特にある工務店の仕入台帳を見せていただき、諸経費というもので構築されている工務店の経費の扱い方、つまり工務店はどこから利益を得ているかというシステムを説明していただきました。さらに危機的な問題として棟梁型という、そもそも大工さんが工務店というビジネスモデルに転換して、それが現在行き詰っていて確実に減っているという話から、それに対するオルタナティヴとしてのホームセンターという流通形式の可能性について指摘されました。DIYやBIYという消費者側からのモデルと、プロをサポートするためのホームセンターという二つの可能性のご説明がありました。特に後者は、プロがそこで建材を買える安全で安定した流通モデルとして、建築業界の閉じた流通システムをもう少し一般性を持ったものにできないかというお話で、米国におけるそういったホームセンターの実例を紹介いただきました。
第5回目の角田誠さんには、あらゆる業界で現在決定的な要因となっている3R、リサイクル、リデュース、リサイクルの問題と環境問題への住宅産業における取り組みをお話しいただきました。ある住宅メーカーでは20種類以上に建材を分別して処理しているという事例を示され、角田さんは、それだけ分類しなくてはいけない建材で住宅をつくらなければいけないものかと問題提起をされました。そもそも静脈産業と言われるリサイクル産業はどういう意味を持つのかという話にまで至ったと思います。また具体的な解体現場の事例なども見せていただきました。
このように全5回を通して、消費者側と供給側両方の視点から今の住宅産業を見てきたのですが、今日はそれらを縦断的に話したいと思っています
まず初めに「住宅という商品の特殊性」という問題があります。商品として考えた場合に住宅はどういう特殊性を持っているのかという点から話を始めたいと思います。

山本想太郎氏



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