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FORUM No.06(2007.3.19)

松村秀一
「200年住宅」と住宅産業の未来

LECTURE05

柔軟な問題解決手法を提供する産業へ

松村──二つ目に、リフォームは今のところ労働集約型の産業ですが、どうすればここから脱却できるのかを考えることです。大きな住宅メーカーがリフォームに出ていこうとしたとき必ずぶつかる壁に、結局現場仕事なので工務店の金額に大手がある金額を載せても質が同じものになるわけです。新築の場合は工場でやることによって一般の工務店がつくるものとは違うものを供給することが大義名分となって、大規模であることの集約効果を生かしています。しかし大手がやっているリフォームはその集約効果を生かしていませんから、町場の工務店が元請けでやる仕事と、それと同類の大手の下請けでやっている仕事と価格を比べるともうほとんど勝負にならない。だから労働集約型ではない形にするにはどうしたらよいか、この問題が非常に大きい。
もうひとつは、ものからサービスまで横断的で柔軟な問題解決手法を提供できる業態でないとダメです。例えば、おじいさんが杖歩行になったからバリアフリーにしてくださいという注文がきたとすると、おじいさんが杖歩行になってどうしたいのかを考えれば、ヘルパーで済むこともあります。住宅の改造にお金をかけるより、介護の人にきてもらうことでより豊かな生活がおくれるかもしれない。つまり「あるけれど何とかしたい」という場合は、工事をすればよいというものではなく、サービスを加えたほうが幸せになれることもあるわけです。立派なキッチンをつくったり手軽に調理できる電子レンジを買わせるよりも、食事のサービスを付けたほうがはるかによいということが起こります。そうすると必ずリフォームになるのではなくて、あるときは工事、あるときはサービスで、あるときはそれらを組み合わせる、こういう展開ができないと本当の需要に応えることができないと思います。
それからインテリアデザインからタウンマネージメントまでをカバーできる産業になるべきだと考えています。細かいインテリアデザインも重要で、壁の色を少し変える、床の仕上げで滑りにくい材料を使う、というレベルのこともあれば、「この地域はすさんできたね」「空き家も増えたね」と言われるようになったとき、生活環境自体が危うい状態になってくることに抵抗しなくてはいけない。そのときタウンマネージメントができる産業がサポートしないとどうにもならないわけです。「うちはタイルの貼り替えしかやっていないです」などと言っているのではダメです。結局どういうチームで動くかが問題です。ある企業がインテリアからタウンマネージメントまで全部やることはありえないので、どういうコンソーシアムで動いていくかです。その場合、僕は動きやすい小さな企業のほうがおもしろいと思います。チームを組もうと思ったら、「昨日先生の話を聞いて早速近所の友達に電話して不動産屋集めてチームでやることになりました」ということがすぐできてしまうかもしれない。だから、これからは小さな企業と大きな企業が混在した逆転現象が起こる波乱に満ちた業界になっていくのではないかとワクワクしています(笑)。
fig.7


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