FORUM No.05(2007.1.25)
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角田誠 |
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SESSION04 3R技術の可能性 角田──今までのお話を伺っていて、研究のスタンスを疑われている感じがするのですけれど(笑)。日本のように国土が狭いことところで、新しいものをどんどんつくりたいという欲求があった場合、現在は安易に壊すことは許されない時代となっている。だから人に何も言われない壊し方を考えれば堂々とつくてもよいのではないと思います。長持ちさせることに関しては、ポジティヴな長寿命化とネガティヴな長寿命化があるのではないでしょうか。みなが楽しくハッピーで200年もったというのと、使わざるをえないから200年使ったというのでは全然違う。5年、10年という建築の寿命を積み重ねていくとひょっとすると200年になるかもしれない、という積み上げ的な建築はよいものだと思います。しかし、予め200年と決められていて、我慢する長寿命化は好ましくない。壊すからつくる、そしてつくるときに壊すことをどのように設定するのか。やはり僕も住宅の寿命は10、15年ぐらいでよいという気がしています。 松村──壊して返せという場合もあるけれど、壊さずに契約を更新するというパターンが多いと思います。今の段階で分解しやすいようにつくっておかなくてはいけないと思います。相互依存の輪の中で、つくる技術はもう進歩のしようがないけれど、リユースやリサイクルの技術はいろいろあると思います。タイルのモルタルをこの原理でやれば簡単に取れます、というのができたらいくらモルタルをつけてもリユースできるわけだから、技術的にはこちらのほうが可能性がある。アスベストの解体の手間に対する技術的回答が別に出てきたら、それはバンバン売れるわけだし、解体の仕方も全く変わってくる。だから静脈産業のほうは技術開発的にすごく可能性があります。面白いことを考えれば、とんでもないことになるかもしれないなという気がしています。建築学は動脈産業なので、そこで一生懸命やっているわけですが、根本的なのは静脈産業で、ノーベル賞がとれるような分野の研究者が現われてくるのではないかと思います。 松井──動脈産業から静脈産業に至るループが、ひとつの経済主体によってできればよいという話があったのですが、面白いことを考えてそれで儲ける人が出てくるということなので、ループを分割して競争させたほうがよいという結論になりませんか。 山本──それだとたくさん解体するためにどんどん生産して売らなくてはいけない、という原理の方向にいってしまいませんか。 松井──つくった人が壊してどのようにしていくかを一人の責任でやるよりも、創意工夫をする人に委ねて、その人にお金を払ってというほうがよいかもしれない。細かく分けた場合と粗く分けた場合では引き取り価格が違うという話がありましたが、これは取引で処理をしている話です。もしかしたら、ある主体の中で全部やるのではなく、分けたほうがよいのかと思いますが。 山本──そういう穏やかな分業のようなストーリーだとすると、ある段階でバランスがとれた状態になり、静脈産業は解体物が出てくる量に応じたところまでしか発展しないのでは。 松井──インプットによってアウトプットが決まるので、もちろんそうです。業者は効率の差で競争するわけです。そこでイノベーションが生まれて、インプットからアウトプットに変換する効率が上がり、安価で高品質な3Rができる、というのが市場メカニズムの考え方です。市場が拡大するというよりも、社会的な効率が高まり、結果的に環境負荷も減るということではないかと思ったのです。 |
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