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FORUM No.05(2007.1.25)

角田誠
住宅産業における3Rの取り組み

LECTURE03

リデュースの実際例

角田──以上を踏まえて、実際の3Rに関して少し説明をします。まずリデュース、発生を抑制することです。これはプレハブ住宅の工場の生産段階で、どのようなゴミが出てくるのか、それをどのように処理しているのかを説明したものです[fig.3-01]
fig.3-01 [拡大] 

プレハブ住宅は工場でつくって、それを現場に運んで組み立ててつくるので、現場にはゴミが出ないのではないかと思うかもしれませんが、かなりの量のゴミが出ています。2005年ベースではプレハブ住宅の供給床面積は約1500万平米が母数になっていて、供給面積に対する廃棄物の重さが14キロ程度になっています。出てくるゴミでは混廃、混合廃棄物が一番問題になっています。このゴミはリサイクルもできなくて埋められていますが、それ以外の廃棄物は何かしら再資源化がされています。プレハブ住宅の工場段階で出たものは工場廃棄物全体に対して96パーセントも再資源化しています。しかしこれはすべて自社製品として使っているのではなく、他産業でも使われています。工場で平米あたり6.5キロの廃棄物が出ているのですが、その96パーセントも再資源化できているため、最終的に捨てているものは非常に少ないわけです。つまり工場段階ではゼロエミッションは非常に進んでいると言えます。一方で現場の工事で出てくる混廃は非常に多い割合を占めています。しかし経年別の変化を見ると、最近は混廃の量は少しずつ減っていますが、まだまだ相当量が出ています。工場のゼロエミッションは進んではいますが、施工現場では廃棄物が発生しているというのが現実です。ISOの認証を受けている生産工場などもたくさん出てきていますが、工場でゼロエミッションを進めても、現場で工場でつくったものを組み合わせるところで調整が必要になり、さまざまな廃棄物が発生してしまいます。それともうひとつ、工場では安定した環境でつくっているのでゼロエミッションが進みますが、住宅の建設現場はいろいろな場所でいろいろな人がやっているので、このシステムをコントロールすることが難しくなります。
あるプレハブ住宅メーカーは施工現場で出てくるゴミを27種類に分別して、廃棄物の効率的な回収をやっています。廃棄物の回収においては、施工現場が散在的であることが大きな障害になります。これは法律に関係しますが、廃棄物は地域のバウンダリーが強くて、それを越えて動かすことが基本的にできません。そのため環境省から広域認定制度をとって、輸送の効率化を図っています。広域認定制度とは「都道府県の区域を越えて、効率的に廃棄物の回収をすることができる」ということです。分けたものの量が少なくてもいろいろな場所から集めることができるので量を担保でき、そしてそれを自社工場につくった処理施設で再資源化を図るという仕組みを構築しています。そのメーカーは大々的に取り組んでいますが、住宅産業においては先駆的な試みで、なかなか上手くいっていると思います。今までは工場から部材を出して、現場でつくり、ゴミは現場から中間処理場に運ばれて再資源化される、というやり方でした。それがこのメーカーの仕組みでは、出てきたゴミを27品目に分けて、部材を運んできたトラックを使って回収しています。戻り便を空にしないで持っていくわけです。現場では27品目に分けているのですが、資源循環センターに運び込まれると、さらに60品目に分けられます。それぐらいに分けないと次のものには使えないのです。
今日の結論を先に話してしまうと、これはおかしいと思っています。27品目に分別したり、60品目に分別することが画期的なのではなく、それほど分別しなければならないもので住宅をつくっていることに気づかなくてはいけない。そういうことを考えずに住宅の部品や部材をつくっていると、品目数がさらに増えていきます。それは何か違うのではないかと思います。
これが新築現場での分別では、27品目に徹底的に分別するためにゴミの種類毎のカゴを用意しています。これをトラックに積んで、資源循環センターへ運び込みます。いろいろな現場を回ってから運び込まれるのですが、再資源化するための工場内のラインにうまく降ろせるように、トラックへの荷積みの仕方も工夫しています。循環センターでは発泡スチロール系のものや配管類など違う種類の材料を分けることを行なっています。この資源循環センター内で使えないものは、他の処理施設でリサイクルをしてもらっています。このように現場から出てくるゴミが、最終的にすべて再資源化というルートの乗っているわけです。

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