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FORUM No.02 (2006.8.28)

望月久美子
「住生活1000人調査 2006」──住宅像の現在

SESSION06

住宅の資産価値と街並みの関係

松村──自分の経験でもそうですが、家を買ったり借りたりするときに、そこに何年ぐらい住むかというイメージがそもそもない。ずうっと住むわけではないことはハッキリしていると思って買ったりする。よく住宅情報誌などには11年目までに転売するべきだと書いてあったりします(笑)。そうすると買うときから住むのは10年位という了解がありますが、実際はもっと長く住んでいたりする。だからそこに長く住む覚悟のないまま、結果的に長く住んでいるという、難しい状況がある。たぶんアメリカの住宅市場では買い換えることが前提で、住宅の資産価値を守るために街並みも守り、それが商品価値につながっている。それは何年か後に売ることが前提になっています。日本の場合でもしっかりした計画を立てている人もいるでしょうが、多くの場合はズルズル住んで、その資産価値を守ることを考えないまま気づいたら30年ぐらい過ぎていたりすることが、現実にはあります。それが住宅や街に対する考え方を煮え切らないものにしている。住み替えることが習慣化していればもっとドライになり、違うやり方があるはずです。逆に20、30年も住むのだったらもっと地域のことをまじめに考えるはずです。首都圏に住んでいる場合は親の土地ではない限りそういうことはあります。

山本──住み替えることがなかなかできないのは、10年も住んでいる間に家の資産価値がすごく落ちてしまうからです。それを売っても、同じクラスの住宅には住めなくなってしまう。アメリカで10年経っても資産価値がそれほど落ちないのは、やはり街並みなどの周辺の状況にも価値があるからでしょう。内部で閉じている単体の家ならば建てた瞬間から資産価値が落ちていきます。日本の税制もそうなっていて、木造住宅は20年でもう課税対象ではなくなってしまいます。

望月──日本のシステムや制度に触れてくる根が深い問題です。

松村──マンションの売れ行きはわりと好調ですが、そう長く続きませんよね。2、3年後に売れ行きが落ちたときに、何で差別化していくのか、何で生き残っていくのか、そういうことが盛んに議論されている時期なのか、それとも忙しくてそれどころではないとか、どのような感じなのでしょうか。

望月──総合ディヴェロッパーでは、明らかに住宅はサブの柱になる傾向にあります。ただ住宅はマーケットが縮小することは明らかですからその中である一定のシェアをどこまで維持するかという問題だと思います。住宅メーカーが今困っているのは、地方における持ち家の戸建て数が減っていることです。特に地方の核になっていたところで人口減少などにより落ちてきています。だから首都圏の分譲市場に集中し、そこで取り合っている。この土俵は団塊ジュニア世代を中心とした購入適齢期に入ってきている人たちが支えています。でも5年もすれば変わるので、ここでは稼げない。だから一戸建ては建て替えを促進するようになります。しかし最近は建築の耐久性もよくなってきているのでなかなか更新もできていない。住宅を捨てるわけにはいかないとすれば、リフォームになっていきます。リフォームもできないマンションは、老人ホームやシニアハウスといったサービスを付加してつくる。とにかく今までのかたちでの単純な分譲は崩れかけてきているので、どこにシフトさせるかということだと思います。

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