INAX住宅産業フォーラム INAXE´tE´HA°[E´a^E´A¨E´VE´a¨A°[E´Y
FORUM No.01 (2006.6.19)

野辺公一
市場における工務店という存在──地域マスター工務店登録運動の軌跡

SESSION05

地域とつながる工務店

会場A──「快傑ホームズ」は、決して追随型のものをつくろうとは思ってはいません。基本的にはトステム、松下電工の押し付け型のシステムと違い、INAXはカフェテリアのように好きなものを集めて自己責任でやるというところでつくりました。それから売って終わりではなく、買って始まりのビジネスをつくっていこうと思っていますが、現実的に理解していただいているのは本当に一部で、INAXの営業を含めてほとんど理解できていないのが実情です。
またそういう工務店さんが都会型ビジネスの中で本当に存在しているのかという疑問もあります。首都圏はほとんどがパワービルダーのビジネスになっている。地方では工務店は確かに残るのですが、都会の中で存在できるのかという疑問がひとつです。もうひとつは新築ゼロに対応したビジネスが増えていく、それでもものをつくっていくというのは全くその通りだと思うのですが、工務店さんには新築で家を建てるというプライドがあり、リフォームには抵抗があってプライドが邪魔をしていてうまくいかないことがすごく悩みです。

野辺──「快傑ホームズ」は立ち上げの時から見ていて、面白いけれど少々突っ込みが足りないという話をしていたことを思い出しました。リフォームは、自分のOB施主以外を受注しようとすると相当難しい(営業コスト等の兼ね合いも含めて)。新築の合間にリフォームを入れていくことは難しいので、別途リフォーム事業部事業部を立ち上げたほうがやりやすい。その見極めをしているところです。それともうひとつは都市型でも仕事が来ているところは来ていますが、確かにほんの一部です。

会場A──野辺先生のお話を聞いて面白かったのが、第三世代の知術という話し手です。団塊ジュニアの若い世代と一緒に友だち感覚で家をつくっていくビジネスで面白いことが考えられそうだと思いました。第二世代の「高気密・高断熱」のというよりはこういうビジネスのほうが面白いと思いました。この辺でもう少し都会的なビジネスができるのではないかと思います。

野辺──面白かったのは、三十何回も現場見学会を楽しみに来ている人がいる。僕は放牧型管理と呼んでいますが、それでも深追いしないわけです。そういう人たちをお客さんだと思わないかぎり、ハウスメーカー的な営業で来るような人を相手にしている工務店はだめです。

会場B──個人的に12年前に住宅を建設しました。その時のプロセスを思い出しながらお話を聞いていました。私の場合は愛知という自分とは縁のない場所で土地を求めました。家を建てようと思ったときに、そこのエリアの工務店を探したのですがよくわからない。電話帳を見ても内容がわからない。そこで住宅展示場で情報を得て決めて、ハウスメーカーにしました。結論的から言うと、ハウスメーカーの住宅は全部自由に何でもできますと言っていましたが、最終的にほとんど何もできず不満が残りました。私はやはり建築業界の端くれにいるつもりでしたが、家を建てることは何も自分は知らないと思いました。だからこうしたいという自分の言葉を理解して、翻訳して、実現してくれるのは設計者だと私は思いました。だから家を建てたいという相談を受けた時には、建築設計の方にざっくばらんにこういう生活にしたいと相談しなさい、そうするとその予算も含めてそのエリアで工務店を紹介してくれる、という返答をしています。私の経験からなのですが、工務店さんはいろいろなものをもっているんでしょうけれど、それをうまく発信していないと思います。その辺を先ほどお話いただいたのでしょうけれども、現実にはまだ見えていないのでそれはどうするのかなというのが疑問があります。

野辺──まさにその通りで、工務店ほどどこにいるかよくわからないものはなくて、かつ看板もぶっきらぼうで「建築一般」や「請け負い」としか書いていない。それはもうだめで、われわれのテーマは工務店版のスマートオフィスをどうつくるか、です。
どう地域と繋がっているのか、その存在が知られているのか、ということです。イギリスの緊急医療とかですと、ホームページで郵便番号を打つとそこに該当する医院がすぐ表示されます。それと同じようにある種の緊急性も含めて、例えば郵便番号を打つとそこの近所の工務店が出るとか、全国的な組織ができれば一番有用だろうと思っています。

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